病気や怪我で働けない時の家計を守る!自分に合った保険の見つけ方
もしもの時、家計はどうなる?「働けないリスク」に備える保険を考える
日々の生活を支える大切な収入。もし、病気や怪我で長期間働けなくなってしまったら、家計はどうなるのだろうか?このような不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
働けない状態が続くと、収入が途絶える、あるいは減少する一方で、治療費や入院費などの支出が増える可能性があります。このような状況は、家計に大きな影響を与え、経済的な不安から心身の回復にも専念しにくくなるかもしれません。
この記事では、もしもの時に家計を守るための「働けないリスク」への備えについて解説します。公的な制度でどこまでカバーされるのか、民間の保険にはどのようなものがあるのかを知り、ご自身に合った備えを見つけるためのヒントとしていただければ幸いです。
「働けないリスク」とは何か?
「働けないリスク」とは、病気や怪我などが原因で就業が困難になり、収入が得られなくなる、または収入が大幅に減少してしまう可能性を指します。これは、働き盛りの世代にとって、無視できないリスクの一つと言えます。
突然の病気や予期せぬ事故によって、普段通りの仕事ができなくなる可能性は誰にでもあります。数日から数週間の休みであれば貯蓄で乗り切れるかもしれませんが、回復に数ヶ月、あるいはそれ以上の期間が必要となった場合、収入がない状態が続くと、家計は次第に厳しくなっていくことが考えられます。
公的な制度でどこまでカバーされる?
日本には、病気や怪我で働けなくなった際に収入の一部を補填する公的な制度があります。代表的なものとして、会社員などが加入する健康保険の「傷病手当金」があります。
傷病手当金は、業務外の事由による病気や怪我の療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期期間)を経て、4日目以降、最長1年6ヶ月間、給与のおおよそ3分の2程度が支給される制度です。
ただし、この傷病手当金にはいくつかの注意点があります。
- 支給期間に上限がある: 最長で1年6ヶ月という期間制限があります。それ以降も働けない状態が続いた場合は、傷病手当金の支給は終了します。
- 自営業者やフリーランスは対象外: 国民健康保険には傷病手当金の制度はありません(一部自治体を除く)。
- 支給額は限定的: 給与の全額ではなく、おおよそ3分の2程度となります。
このように、公的な制度だけではカバーしきれない期間や対象者が存在します。また、給付額も減少するため、それまでと同じ生活レベルを維持するのが難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
公的制度の不足を補う民間の保険とは?
公的な制度だけでは不安が残る場合に、その不足分を補う選択肢として民間の保険が考えられます。病気や怪我で働けなくなった際の収入減に備える保険には、主に「就業不能保険」や「所得補償保険」といった種類があります。
これらの保険は、被保険者(保険をかけられている方)が病気や怪我により、保険会社が定める就業不能状態と判断された場合に、あらかじめ定めた金額を毎月(または一時金として)受け取ることができる仕組みです。これにより、収入が途絶えても、当面の生活費などを賄う経済的な支えとすることが期待できます。
専門的な名称で難しく感じられるかもしれませんが、平たく言えば、「働けなくなった期間の収入をサポートしてくれる保険」と考えていただくと良いでしょう。
自分に合った保険を見つけるための考え方
では、もしもの時のために、どのような保険に、どのくらい加入すれば自分に合っているのでしょうか。いくつかのポイントから考えてみましょう。
1. どのくらいの収入減を補いたいか?(必要保障額の考え方)
まずは、ご自身の家計において、もし働けなくなった場合にどのくらいの収入が不足するのかを把握することが大切です。現在の収入から公的な傷病手当金などで補われる金額を差し引き、毎月の生活費と比較してみましょう。
- 毎月の生活費はどのくらいか?
- 公的な制度でどのくらい給付があるのか?(勤め先の健康保険組合などに確認すると良いでしょう)
- 不足する金額はいくらか?
この「不足する金額」が、民間の保険で備えるべき金額の一つの目安となります。ただし、必ずしも不足分の全額を保険で賄う必要はありません。貯蓄や家族の収入なども考慮して、無理のない範囲で保障額を設定することが重要です。保険料と保障額のバランスを考える上で、ご自身の家計状況と照らし合わせることが大切です。
2. いつまで保障が必要か?(給付期間や保険期間)
働けない状態がどれくらいの期間続くかは誰にも予測できませんが、公的な傷病手当金が最長1年6ヶ月であることなどを踏まえ、それ以降も働けない状態が続くリスクに備えるのか、あるいは傷病手当金が終了するまでの期間をサポートしたいのかなど、ご自身のライフプランや考えに合わせて保障が必要な期間を検討します。
民間の就業不能保険などには、給付金を受け取れる期間に「60歳まで」「65歳まで」といったように期限が設けられていることが一般的です。ご自身の働きたい期間や、老後の備え(年金など)との兼ね合いも考慮して、保険期間や給付期間を検討すると良いでしょう。
3. どんな状態になったら給付されるか?(給付条件)
保険を選ぶ際には、「どのような状態になったら保険金や給付金を受け取れるのか」という給付条件をしっかりと確認することが非常に重要です。
就業不能保険などにおける「就業不能状態」の定義は、保険会社によって異なる場合があります。「医師の指示による自宅療養」「身体障害者手帳の等級」「寝たきりまたはそれに準ずる状態」など、様々な定義があります。ご自身が「これなら給付されるだろう」と考えていた状態が、保険会社の定める給付条件に当てはまらない、といったことがないよう、パンフレットや重要事項説明書などで詳細を確認するようにしましょう。
また、多くの場合、「免責期間」が設けられています。これは、働けない状態になってから保険金や給付金が支払われるまでの待期期間のことです。例えば、免責期間が60日であれば、働けない状態が始まってから60日間は給付金は支払われず、61日目以降から支払いが開始される、といった仕組みです。この免責期間の長さも、保険料や保障内容に影響するため、確認しておきたいポイントです。
複数の保険を比較検討するポイント
自分に合った働けないリスクに備える保険を見つけるためには、複数の保険商品を比較検討することが推奨されます。比較する際には、以下の点に注目すると良いでしょう。
- 保障額: 毎月(または一時金で)受け取れる金額
- 保障期間・給付期間: いつまで保障が続くのか、給付金はいつまで受け取れるのか
- 給付条件: どのような状態になったら給付されるのか、免責期間はどのくらいか
- 保険料: 月々または年間に支払う金額
- 付帯サービス: 健康相談サービスなど、保険以外のサービスがあるか
これらの点を比較検討することで、ご自身のニーズや予算に最も適した保険を見つけやすくなります。インターネット上の比較サイトや、保険会社のウェブサイトに掲載されている情報、あるいは保険の専門家への相談などを活用しながら、じっくりと比較検討を進めてみてください。
まとめ
病気や怪我で働けなくなるリスクは、誰にでも起こりうる可能性があり、家計に大きな影響を与える可能性があります。公的な制度である傷病手当金などで一定の備えはありますが、それだけでは十分でない場合も考えられます。
民間の就業不能保険などを活用することで、公的な制度で不足する収入を補い、もしもの時も安心して療養に専念できる環境を整えることが期待できます。
ご自身に合った備えを見つけるためには、必要保障額の考え方、保障が必要な期間、そして保険ごとの給付条件などを理解することが重要です。複数の保険商品を比較検討し、ご自身の状況や家計に合った最適なバランスを見つけることが、賢明な保険選びにつながります。
この記事が、皆様が「働けないリスク」への備えを考える上での一助となれば幸いです。ご自身の状況に合わせて、必要な情報収集や比較検討を進めてみてください。