保険の重複、あなたは大丈夫?無駄な保険料をなくす見つけ方と解消法
保険の重複、あなたは大丈夫?無駄な保険料をなくす見つけ方と解消法
保険の見直しや新規加入を検討される際、「今の保険で十分なのだろうか」「もっと保険料を抑えられないだろうか」といった疑問をお持ちになる方は多くいらっしゃいます。もしかしたら、現在ご加入中の保険の中に「重複(ちょうふく)」した保障があり、本来必要のない保険料を支払っている可能性も考えられます。
保険の重複は、ご自身のライフイベントの変化や、過去に複数の保険会社・商品を検討した経緯などから、意図せず発生することがあります。しかし、重複した保障がある状態は、保険料の無駄につながるだけでなく、いざという時の保障内容が分かりにくくなるなど、いくつかのデメリットも伴います。
この記事では、保険の重複とは具体的にどのような状態を指すのか、なぜ重複が起こりやすいのか、そしてご自身の保険契約に重複がないかを確認するための具体的な方法と、重複が見つかった場合の解消法について解説します。この記事をお読みいただくことで、ご自身の保険契約を整理し、無駄な保険料をなくして、本当に必要な保障に費用を充てられるようになるでしょう。
保険の重複とは?なぜ起こりやすいのでしょうか?
保険の重複とは、一般的に、加入している複数の保険契約において、同じまたは非常に似た保障内容が複数存在している状態を指します。例えば、A社の医療保険とB社の医療保険に加入しており、入院給付金や手術給付金が両方の保険から受け取れるようなケースです。
なぜこのような重複が起こりやすいのでしょうか。主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- ライフイベントの変化: 結婚、出産、転職、住宅購入など、人生の節目で保険の見直しや新たな保険加入を検討する際に、以前の契約内容を十分に確認せず、新たな保障を加えてしまうケース。
- 複数の保険商品を検討・加入: さまざまな保険会社の資料請求や相談を行い、その過程で複数の保険に加入したが、全体の保障内容を把握しきれていないケース。
- 保障内容の追加(特約など): 基本となる主契約に加え、特定の保障を厚くするための特約を、異なる保険で追加した結果、保障が重複するケース。
- 家族の保険と自身の保険: 配偶者や親が加入してくれた保険がある一方で、自身でも保険に加入しており、家族全体として保障が重複しているケース。
このように、必ずしも意図的ではなくても、さまざまなきっかけで保険の重複は起こりうるのです。
保険が重複していることのデメリット
保険が重複している状態は、いくつかのデメリットをもたらす可能性があります。
- 保険料の無駄: 最も大きなデメリットは、必要以上の保険料を支払っている可能性があることです。重複した保障は、いざという時の給付金が加入額に応じて増える場合(例:死亡保険金)と、実際に発生した損害額や費用に応じて給付される場合(例:医療保険の入院・手術給付金の一部、損害保険)があります。後者の場合、どれだけ多くの保険に入っていても、実際に受け取れる給付金の合計額には上限があることが一般的です。つまり、重複分の保険料が無駄になる可能性があるのです。
- 保障内容の把握が困難: 複数の保険契約がある場合、それぞれの保障内容や保険期間、保険料などを正確に把握することが難しくなります。これにより、いざという時にどの保険に請求すればよいのか、いくら受け取れるのかが分かりにくくなる可能性があります。
- 保険金請求時の手続きの煩雑さ: 重複した保障について保険金を請求する際、それぞれの保険会社に個別に手続きを行う必要があります。これにより、手続きが煩雑になり、時間や手間がかかる可能性があります。
これらのデメリットを踏まえると、ご自身の保険契約に重複がないか確認し、必要に応じて見直すことは、家計にとっても保障内容の最適化にとっても非常に重要と言えます。
あなたの保険に重複はないか?見つけるための具体的なチェック方法
それでは、ご自身の保険契約に重複がないかを確認するための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:現在加入している保険契約をすべて洗い出す
まずは、現在加入している生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険、損害保険など、すべての保険契約を漏れなくリストアップします。
- 手元にある保険証券や保険会社のからの郵便物を探します。
- 過去に保険相談をした際の資料や申込書類なども確認の手がかりになります。
- 会社の福利厚生で加入している保険や、クレジットカード付帯の保険、共済なども含めて確認します。
- ご家族(配偶者、お子様など)の保険も、ご自身が保険料を支払っている場合や、受取人になっている場合は確認しておくと良いでしょう。
すべての保険証券が見つからない場合は、保険会社に連絡して契約内容を確認したり、保険証券の再発行を依頼したりすることも可能です。
ステップ2:それぞれの保険の保障内容を整理する
洗い出した保険契約について、それぞれの保障内容を書き出します。特に確認したい項目は以下の通りです。
- 保険の種類: 生命保険、医療保険、がん保険、収入保障保険、就業不能保険など
- 主契約と特約: それぞれの保険でどのような保障が主契約となっていて、どのような特約が付いているか
- 保障される内容: 死亡保険金、入院給付金(日額)、手術給付金、診断給付金(がん・三大疾病など)、高度障害保険金、リビングニーズ特約など、どのような場合にいくら給付されるか
- 保険期間: いつからいつまで保障される期間か
- 保険料: 月々の保険料や年払いの保険料はいくらか
保険証券にはこれらの情報が記載されています。「ご契約内容」「保障内容」といった欄を確認してみましょう。専門用語が難しい場合は、保険会社のウェブサイトで用語集を調べたり、カスタマーセンターに問い合わせてみたりするのも良いでしょう。
ノートやエクセルなどを使って、契約ごとに上記の内容を一覧表にまとめると、後で比較しやすくなります。
ステップ3:保障内容を比較し、重複箇所がないか確認する
整理した保障内容一覧を見ながら、同じまたは似た保障がないか比較します。
- 死亡保障: 複数の生命保険に加入している場合、死亡保険金が重複していないか確認します。ただし、死亡保険金は重複して受け取れるのが一般的ですので、「重複=無駄」とは限りません。合計の死亡保障額が、ご自身やご家族にとって必要十分な額になっているかどうかがポイントになります。
- 医療保障: 複数の医療保険に加入している場合、入院給付金や手術給付金、先進医療特約などが重複していないか確認します。特に、入院給付金の日額が複数の保険で設定されている場合、合計の日額が実際の医療費に対して適切か、あるいは過剰になっていないかを確認します。
- がん保障: がん保険や医療保険に付帯するがん特約、三大疾病特約などで、がんに対する診断一時金や入院・手術給付金が重複していないか確認します。がんと診断された場合に複数の保険から給付金が出るのは一般的ですが、それぞれに契約や給付の条件が異なる場合があるため、内容をよく比較することが重要です。
- 就業不能保障/収入保障: 病気や怪我で働けなくなった場合の収入を補填するタイプの保険や特約が重複していないか確認します。公的な傷病手当金なども考慮した上で、必要な保障額を検討する必要があります。
これらの比較を行う際に、保険期間や給付条件(例:入院〇日目から給付、手術の種類による給付額の違いなど)が同じとは限らないため、細部まで丁寧に確認することが大切です。
保険の重複を解消し、保障を最適化する方法
保険の重複が見つかった場合や、保障内容が現在の状況に合っていないと感じた場合は、見直しを検討しましょう。重複を解消し、保障を最適化するための一般的な方法はいくつかあります。
- 不要な保険契約の解約: 重複している保障のうち、優先度の低い契約や、保障内容が古い契約などを解約することで、保険料負担を減らすことができます。ただし、解約返戻金がない掛け捨て型の保険の場合や、解約すると新たに加入する際に保険料が高くなる可能性などを考慮して慎重に判断が必要です。また、一度解約すると原則として元に戻すことはできません。
- 保障額の減額: 解約までは考えていないが、保障額が過剰になっていると感じる場合は、保障額を減額することで保険料を抑えることができます。減額した部分については解約返戻金が発生する場合もありますが、契約内容によります。
- 特約の見直し・解約: 重複の原因が特定の特約にある場合は、その特約だけを解約または保障額を減額することを検討します。主契約はそのまま継続しつつ、不要な特約を整理することで保険料を節約できます。
- 払済保険への変更: 一部の貯蓄型保険などでは、保険料の支払いを中止し、その時点での解約返戻金をもとに保障額が減った形で保険を継続する「払済保険」という選択肢があります。保障は残しつつ保険料負担をなくしたい場合に検討できます。
- 延長(定期)保険への変更: 同様に、解約返戻金をもとに、当初の保障額のまま保障期間を短くする「延長(定期)保険」という選択肢がある場合もあります。
これらの解消方法を検討する際は、どの契約を、どのように見直すのが最もご自身にとってメリットがあるのか、総合的に判断することが重要です。単に保険料が安いから、という理由だけでなく、将来の保障ニーズや、公的な社会保障制度(健康保険の高額療養費制度、遺族年金、障害年金など)でカバーできる範囲も考慮に入れる必要があります。
ご自身にとって本当に必要な保障額は、現在の家族構成、収入、貯蓄、持ち家の有無、将来のライフプラン(お子様の進学、老後資金など)によって異なります。これらの要素を踏まえて、死亡保障はいくら必要か、医療保障はどの程度必要か、といった「必要保障額」を算出し、それに合わせて保険を見直すことが、保障の最適化につながります。
迷った時は専門家への相談も検討しましょう
ご自身の保険契約をすべて確認し、保障内容を比較検討することは、時間もかかり、専門的な知識が必要となる場面もあります。もし、ご自身だけで判断するのが難しいと感じる場合は、保険の専門家や保険相談窓口に相談することも有効な方法です。
専門家であれば、複数の保険会社の幅広い知識をもとに、ご自身の現在の契約内容を分析し、重複の有無や保障の過不足を診断してくれます。また、ご自身のライフプランや家計状況を踏まえた上で、最適な保障内容や保険料のバランスについて、具体的なアドバイスを受けることができます。
特定の保険会社に偏らない、複数の保険会社の保険商品を比較検討できる窓口であれば、より客観的な視点からのアドバイスが期待できるでしょう。相談する際は、ご自身の現在のすべての保険証券や契約内容が分かる資料を準備しておくと、スムーズに相談を進めることができます。
まとめ:保険の重複を確認して、あなたに最適な保障へ
この記事では、保険の重複について、その定義やデメリット、そしてご自身で確認するための具体的なステップと解消方法について解説しました。
保険の重複は、知らないうちに家計に負担をかけたり、いざという時の手続きを複雑にしたりする可能性があります。ご自身の保険契約が現在のライフスタイルや将来の計画に合っているかを確認する良い機会として、この記事でご紹介したチェック方法をぜひ実践してみてください。
ご自身の必要保障額を把握し、公的な制度も踏まえながら、無駄な保険料を省き、本当に必要な保障に費用を充てることが、あなたに最適なパーソナライズ保険を見つけるための重要な一歩となります。もし判断に迷うことがあれば、専門家の意見も参考にしながら、ご自身にとって納得のいく保険選びを進めていただければ幸いです。