保険料は抑えたい、でも不安…自分に本当に必要な保障を見極める考え方
保険料は抑えたい、でも不安…自分に本当に必要な保障を見極める考え方
「毎月の保険料の負担を少しでも減らしたい」。そうお考えの方は多いのではないでしょうか。一方で、「保障を削りすぎて、もしもの時に困ったらどうしよう」という不安もあるかもしれません。保険料と保障内容、この二つの間で最適なバランスを見つけることは、多くの方にとっての課題です。
この記事では、安心を守りながら賢く保険料を節約するために、ご自身にとって「本当に必要な保障」を見極めるための考え方や具体的なステップを解説します。無駄な保険料をなくし、必要な保障だけを確保するためのヒントとして、ぜひお役立てください。
なぜ、今保険の見直しを検討するべきなのでしょうか?
保険は一度加入すると、その後はあまり内容を確認しないという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちの人生は常に変化しています。結婚、出産、住宅購入、お子様の独立、ご自身の働き方の変化など、ライフステージが変わるごとに、必要となる保障の内容や金額も自然と変化していきます。
かつて最適だった保険が、今の状況には合わなくなっている可能性も十分に考えられます。特に、保険料が家計の負担になっていると感じる場合は、現在の保障内容がご自身の状況に本当に見合っているかを確認し、見直しを検討する良い機会と言えるでしょう。
「削れる保障」と「残すべき保障」の基本的な考え方
保険料を抑えるために保障を見直す際に、どのような保障を「削れる可能性がある」と考え、どのような保障を「慎重に検討して残すべき」と考えるのでしょうか。その基本的な考え方は、ご自身の「リスクへの備え」を総合的に捉えることにあります。
具体的には、以下の3つの視点から整理することができます。
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公的な制度でカバーされる部分: 日本には、健康保険の高額療養費制度や、遺族年金、傷病手当金など、万が一の際に家計を助けるための公的な制度があります。これらの制度でどこまでカバーされるかを知ることは、民間の保険で備えるべき範囲を考える上で非常に重要です。公的な制度で十分カバーされる部分に、さらに手厚い民間の保険をかけている場合は、見直しを検討する余地があるかもしれません。
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ご自身の貯蓄や資産で対応できるリスク: 入院時の医療費や、万が一働けなくなった場合の当面の生活費など、ある程度まとまった貯蓄があれば、保険に頼らず自己資金で対応できる場合があります。ご自身の貯蓄状況を把握し、どこまでのリスクなら自己資金で対応できるかを考えてみることで、保険で備えるべき必要最低限の範囲が見えてきます。
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万が一の際に、ご自身やご家族の生活が立ち行かなくなるほどのリスク: これらは、死亡や重度の障害、長期にわたる介護、予測できない自然災害による損害など、発生する確率は低くても、一度発生すると経済的な打撃が非常に大きく、ご自身やご家族のその後の人生に深刻な影響を与える可能性のあるリスクです。このような、ご自身の貯蓄や公的制度だけでは到底カバーできない「経済的に回復困難なリスク」に対して備えることが、保険の最も重要な役割と言えるでしょう。
これらの考え方を踏まえると、「削れる可能性のある保障」は公的制度や自己資金でカバーできる範囲、あるいは現在のライフステージでは発生リスクが低いと考えられるリスクに対する保障などが挙げられます。「残すべき保障」は、ご自身やご家族の生活を破綻させてしまうような、経済的に回復困難な重大なリスクに対する保障と言えます。
自分にとって本当に必要な保障を見極める具体的なステップ
では、これらの考え方を踏まえ、ご自身にとって最適な保障を見極めるためには、具体的にどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
ステップ1:現在の保険契約内容と家計状況を把握する
まずは、現在加入している保険契約の内容を正確に把握することから始めます。保険証券を確認し、どのような種類の保険に加入しているか、保障期間、保障額、保険料、特約の内容などをリストアップしてみましょう。もし保険証券が見つからない、あるいは内容が分かりにくい場合は、保険会社に問い合わせて契約内容を確認することも可能です。
次に、現在の家計状況、特に貯蓄や資産状況を確認します。これにより、もしもの際に自己資金でどの程度まで対応できるのか、具体的な金額を把握することができます。
ステップ2:ご自身やご家族の将来のリスクを洗い出す
現在の家族構成、働き方(自営業か会社員か、扶養家族の有無)、住宅ローンの有無、お子様の年齢や将来の進路、親御様の介護の可能性など、ご自身やご家族の状況を踏まえ、将来起こりうる様々なリスクを具体的に書き出してみましょう。
例えば、 * ご自身や配偶者に万が一のことがあった場合、残された家族の生活費や教育費はいくら必要か? * 病気や怪我で長期間働けなくなった場合、収入はどのくらい減るか?生活費は賄えるか? * 入院や手術が必要になった場合、自己負担額はどのくらいか? * 将来、介護が必要になった場合、費用はどのくらいかかるか? * 自然災害で自宅が損壊した場合、修繕費用はどのくらいかかるか?
これらのリスクが発生した際に、どのくらいの経済的な負担が発生するのか、大まかにでも考えてみることが重要です。
ステップ3:公的な制度でカバーされる範囲を確認する
ステップ2で洗い出したリスクに対して、公的な制度がどこまで備えてくれるのかを確認します。
- 病気や怪我の医療費:健康保険の高額療養費制度で自己負担限度額が決まります。
- ご自身が病気や怪我で働けなくなった場合:会社員であれば健康保険の傷病手当金、自営業であれば国民年金の障害基礎年金や障害厚生年金(厚生年金加入の場合)などが考えられます。
- ご自身に万が一のことがあった場合:遺族年金(国民年金・厚生年金)があります。
これらの公的な制度から、どのくらいの給付が受けられる可能性があるのかを知ることで、民間の保険で備えるべき「不足分」が見えてきます。
ステップ4:必要な保障額を計算し、現在の契約と比較する
ステップ2で洗い出した将来のリスクにかかるであろう費用総額から、ステップ3で確認した公的な制度からの給付、そしてステップ1で把握した自己資金で対応できる範囲を差し引いてみましょう。これが、保険で備えるべき「必要保障額」の基本的な考え方です。
- 必要保障額 = (将来必要となる費用総額) - (公的制度からの給付) - (自己資金で対応できる範囲)
この計算で求められた必要保障額と、ステップ1で把握した現在の保険の保障額を比較します。もし現在の保障額が必要保障額を大きく上回っている場合は、保険料を抑えるために保障内容を見直す余地があると考えられます。逆に、必要保障額を下回っている場合は、保障が不足している可能性もあります。
ステップ5:具体的な見直し内容を検討する
現在の保障が必要保障額に対して過剰であると判断した場合、具体的な見直し方法を検討します。
- 保険金額の減額: 死亡保険や医療保険などの保険金額を、必要保障額に合わせて減らします。
- 特約の見直し・削除: 現在の状況ではあまり必要ないと思われる特約(例:特定の病気に備える特約など)を削除します。更新型の特約で保険料が上がっている場合は、本当に必要か検討します。
- 保険期間の見直し: お子様の独立や住宅ローンの完済など、特定のリスクがなくなるまでの期間に絞って保険期間を短くすることを検討します。
- 保険の種類変更: 例えば、貯蓄性のない掛け捨て型保険に切り替えることで保険料を大幅に抑えられる場合があります。
ただし、安易な保険の解約や減額は注意が必要です。特に、一度保険を解約してから再度加入しようとする場合、健康状態によっては加入できなかったり、保険料が大幅に高くなったりする可能性があります。現在の保険のメリット(例:低解約返戻金型ではない、加入時の健康状態が良好だったなど)も考慮しながら慎重に判断する必要があります。
見直し時の注意点と信頼できる情報源の活用
ご自身で保障の見直しを行うことは可能ですが、保険の仕組みや公的制度は複雑に感じられる場合もあります。特に、複数の保険会社の商品を比較したり、ご自身の状況に合わせて最適な保障額を正確に計算したりすることは、簡単ではないかもしれません。
- 複数の選択肢を比較検討する: 一つの保険会社の情報だけでなく、複数の会社の保険商品や保障内容を比較検討することが、ご自身に最適な保険を見つけるためには不可欠です。
- 専門家への相談も検討する: 保険の見直しや加入について不安がある場合は、保険の専門家に相談することも有効な手段です。ご自身の状況を丁寧にヒアリングし、複数の保険会社の選択肢の中から比較提案してくれる専門家であれば、安心して相談できるでしょう。ただし、特定の会社の商品だけを強く勧めるといった場合は注意が必要です。
「パーソナル保険ナビ」では、多様な保険に関する情報提供や、ご自身の状況に合わせて保険を「パーソナライズ」して見つけるための比較・解説を行っています。この記事で解説した考え方を参考に、ご自身にとって本当に必要な保障を見極め、賢く保険を見直すための一歩を踏み出していただければ幸いです。
ご自身に最適な保険を見つけるためには、焦らず、しっかりと情報収集を行い、納得のいくまで比較検討することが大切です。