保険で貯蓄?それとも別の方法?自分に合った貯蓄と保障のバランスの取り方
保険で貯蓄?それとも別の方法?自分に合った貯蓄と保障のバランスの取り方
保険への加入や見直しを検討される際、「保障だけでなく、将来のためにお金を貯めたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。保険商品の中には、万が一のときの保障に加え、貯蓄機能も兼ね備えているものがあります。一方で、「保険料が高く感じる」「もっと効率的にお金を増やせる方法があるのでは?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、保険で貯蓄することについて、その仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説します。また、他の貯蓄や資産形成の方法と比較しながら、ご自身にとって最適な「保障」と「貯蓄」のバランスを見つけるための考え方をご紹介します。
貯蓄性保険とは?その仕組みと種類
まず、「貯蓄性保険」とはどのような保険なのでしょうか。
貯蓄性保険は、被保険者に万が一のことがあった場合の保障(死亡保険金など)に加えて、満期時に満期保険金を受け取れたり、途中で解約した場合に解約返戻金が戻ってきたりするなど、貯蓄の機能も併せ持った保険商品の総称です。支払った保険料の一部が積み立てられ、将来的に資産として受け取れる仕組みになっています。
代表的な貯蓄性保険には、以下のような種類があります。
- 養老保険: 保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金、満期まで生存していた場合は死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れます。貯蓄機能が非常に高いタイプです。
- 終身保険: 保障が一生涯続く死亡保険ですが、一定期間経過後に解約した場合の解約返戻金が支払保険料の累計額を上回る設計になっていることが一般的です。老後の資金準備や相続対策として活用されることもあります。
- 学資保険: 子供の教育資金準備を目的とした保険です。契約者が亡くなった場合の保障に加え、子供の進学時期に合わせてお祝い金や満期保険金が受け取れます。
- 個人年金保険: 老後の生活資金を準備することを目的とした保険です。保険料を払い込み、契約時に定めた年齢から年金として受け取れます。
これらの貯蓄性保険は、保障と貯蓄の両方を一つの商品でまかなえるという特徴があります。
貯蓄性保険のメリット・デメリット
貯蓄性保険を検討する際に知っておきたいメリットとデメリットを整理しましょう。
メリット
- 保障と貯蓄を両立できる: 万が一の保障を備えつつ、将来のための資金準備も同時に進められます。
- 強制的に貯蓄できる: 毎月(または毎年)一定の保険料を支払うことで、半強制的に貯蓄が進みます。「なかなか自分では貯められない」という方にとっては有効な方法となり得ます。
- 税制上のメリット: 支払った保険料は、生命保険料控除の対象となり、所得税や住民税の負担が軽減される場合があります。また、受け取る保険金や年金にも税制上の優遇措置が設けられていることがあります(詳細は税務署等にご確認ください)。
デメリット
- 保険料が割高になる傾向: 保障機能に加えて貯蓄機能を持つため、同じ保障内容の掛け捨て型保険と比較すると、一般的に保険料が高くなります。家計への負担が大きくなる可能性があります。
- 流動性が低い: 契約期間中に急にお金が必要になっても、すぐに引き出すことが難しい場合があります。解約して現金化することは可能ですが、契約して間もない時期に解約すると、支払った保険料の合計額よりも解約返戻金が少なくなる「元本割れ」を起こすリスクがあります。
- インフレに弱い可能性: 将来受け取る金額が確定しているタイプの保険では、物価が上昇するインフレが進んだ場合に、将来受け取るお金の価値が目減りしてしまう可能性があります。
- 途中で見直しにくい: 長期間の契約が前提となっていることが多く、ライフステージの変化などに合わせて柔軟に見直すことが難しい場合があります。
これらのメリット・デメリットを踏まえて、ご自身の目的や状況に合っているかを慎重に判断することが重要です。
保険以外の貯蓄・資産形成方法との比較
貯蓄性保険のデメリットとして挙げられる「保険料の高さ」や「流動性の低さ」から、「保険で貯蓄するより、他の方法で貯蓄や資産形成をした方が良いのでは?」と考える方もいらっしゃいます。保険以外の代表的な貯蓄・資産形成方法には、以下のようなものがあります。
- 銀行預金(普通預金・定期預金):
- 特徴: 元本保証があり、安全性が高い。普通預金はいつでも引き出せるため流動性が高い。定期預金は普通預金より金利が高い傾向がある。
- 保険との比較: 保障機能はない。金利は非常に低い傾向があり、お金が増えるスピードは遅い。必要な時にいつでも引き出せる点が保険より優れる。
- 投資信託・株式(つみたてNISA・iDeCoなど):
- 特徴: 複数の投資家から集めた資金をまとめて株式や債券などに投資する。運用成果によって将来受け取る金額が増減する(元本保証はない)。つみたてNISAやiDeCoといった制度を活用することで、税制上の優遇を受けながら長期・積立・分散投資を行うことができる。
- 保険との比較: 保障機能はない(保険に加入する必要がある)。元本割れのリスクがある。運用がうまくいけば、保険の貯蓄機能よりも効率的に資産を増やせる可能性がある。流動性は商品によるが、換金に日数がかかる場合がある。税制優遇が大きい。
これらの貯蓄・資産形成方法はそれぞれ特徴が異なります。ご自身の「いつまでに」「いくら」貯めたいのか、どのくらいのリスクを受け入れられるのか、という点によって、最適な方法は変わってきます。
「保障は掛け捨て型保険で最低限確保し、保険料を抑える。その分、貯蓄や資産形成は別の方法(銀行預金や投資)で行う」という考え方もあります。この方法であれば、必要な保障を確保しつつ、資産をより効率的に増やせる可能性があります。ただし、投資にはリスクが伴う点や、自分で計画的に貯蓄・運用を行う必要がある点は認識しておく必要があります。
自分に合った貯蓄と保障の最適なバランスを見つけるステップ
ご自身にとって最適な「保障」と「貯蓄」のバランスを見つけるためには、以下のステップで考えてみることをお勧めします。
ステップ1:現在の保障内容と保険料、貯蓄状況を把握する
現在加入している保険の種類、保障内容、保険料、そして貯蓄(銀行預金、投資等)の状況を全てリストアップしてみましょう。保険証券を確認したり、通帳や証券口座の情報を整理したりします。これにより、現在の家計における「保険料」と「貯蓄に回せている金額」の現状を把握できます。
ステップ2:将来必要となるであろう資金(ライフプラン)と必要保障額を見積もる
今後のライフプラン(結婚、出産、マイホーム購入、子供の進学、退職など)を考え、それぞれに必要な資金がどのくらいか、大まかに見積もってみましょう。同時に、これらのライフイベントで「万が一」のことがあった場合に、いくらくらいの保障が必要になるのか(必要保障額)を考えます。この際、公的な社会保障(遺族年金、高額療養費制度など)でカバーされる範囲も考慮に入れることが重要です。このステップで、将来の資金ニーズと必要な「保障」の量が明確になります。
ステップ3:利用可能な貯蓄・資産形成手段の特徴を理解する
前述した貯蓄性保険、銀行預金、投資(つみたてNISA、iDeCoなど)それぞれの特徴(メリット・デメリット、利回り、リスク、流動性、税制)を改めて確認し、理解を深めましょう。ご自身の目的(老後資金、教育資金など)に対して、どの方法が適しているか、複数の視点から検討します。
ステップ4:自分の目的、リスク許容度、家計状況を踏まえ、最適な組み合わせを検討する
ステップ2で明確になった資金ニーズと必要保障額に対し、ステップ3で理解した各貯蓄・資産形成手段の中から、ご自身の目的、どのくらいのリスクなら受け入れられるか(リスク許容度)、そして現在の家計状況を踏まえて、最適な組み合わせを考えます。
例えば、「保障は最低限で十分なので、保険料は抑えたい」「将来のために積極的にお金を増やしたい」という場合は、「掛け捨て型保険+積立投資(つみたてNISAなど)」の組み合わせが合うかもしれません。一方、「元本割れは絶対に避けたい」「保険料を支払うことで確実に貯めたい」という場合は、貯蓄性保険や銀行預金を中心に検討することになるでしょう。
ステップ5:必要に応じて、保険の見直しや新たな貯蓄・投資の開始を検討する
ステップ4で考えた最適な組み合わせと、現在の状況(ステップ1)を比較し、必要に応じて保険の見直しや、新たな貯蓄・投資の開始を検討します。保険の見直しでは、保障内容の削減、保険期間の見直し、保険種類の変更などが考えられます。
ご自身だけで判断するのが難しい場合は、保険や金融の専門家に相談することも有効な手段です。複数の選択肢を比較検討し、ご自身の状況に最も合った方法を見つけることが大切です。
まとめ
保険で貯蓄するか、それとも別の方法で貯蓄や資産形成を行うか、どちらが良いかは、ご自身のライフプラン、必要な保障額、貯蓄の目的、家計状況、リスク許容度によって異なります。
貯蓄性保険は保障と貯蓄を両立できるメリットがある一方で、保険料が割高になる可能性や流動性の低さといったデメリットもあります。他の貯蓄や資産形成方法と比較検討し、ご自身の状況に合った最適なバランスを見つけることが重要です。
今回ご紹介したステップを参考に、ぜひご自身の「保障」と「貯蓄」についてじっくり考えてみてください。ご自身にとって最適なパーソナライズ保険や貯蓄方法を見つけることが、将来の安心につながります。