将来の介護不安を軽減!自分に合った介護保険の選び方と公的制度の活用
将来の介護にどう備える?漠然とした不安を解消するために
ご自身の、あるいはご家族の「介護」について、漠然とした不安をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか。特に、介護にかかる費用や、誰がどのように介護を担うのかといった点は、多くの方が懸念される点です。
介護は、いつ、どのように必要になるか予測が難しいため、どのように備えれば良いのか分かりにくいと感じるかもしれません。この記事では、将来の介護に対する経済的な備えとして考えられる「介護保険」に焦点を当て、公的な制度と民間の保険をどのように考え、自分に合った備え方を見つけるかについて解説します。この記事をお読みいただくことで、介護に対する漠然とした不安が少しでも軽減され、具体的な備えを検討するための一助となれば幸いです。
公的介護保険制度の基本的な仕組み
まず、日本には「公的介護保険制度」があります。これは、原則として40歳以上の全ての方が加入し、介護が必要になった際にサービスを利用できる社会保険制度です。
- 対象者:
- 65歳以上の方(第1号被保険者):原因を問わず、市区町村の認定を受けた要支援・要介護状態になったときにサービスを利用できます。
- 40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者):特定の病気(16種類)が原因で要支援・要介護状態になったときにサービスを利用できます。
- 利用できるサービス: ケアマネジメント、訪問介護、通所介護(デイサービス)、ショートステイ、福祉用具のレンタル・購入、住宅改修などが主なサービスです。
- 自己負担: 原則として、サービス費用の1割、2割、または3割を自己負担します。所得に応じて負担割合が異なります。また、施設に入居する場合は、サービス費用だけでなく、食費や居住費なども自己負担となります。
公的介護保険制度は、介護が必要になった際に基本的なサービスを利用できる非常に重要な制度です。しかし、サービスの利用には上限があったり、自己負担が発生したり、また、サービス外の費用(おむつ代、日用品代、交通費など)や、施設入居時の費用すべてをカバーできるわけではありません。
民間介護保険の役割と必要性の考え方
公的介護保険制度だけでは不足する可能性のある費用を補うために検討されるのが、民間の介護保険です。民間の介護保険は、被保険者が契約で定められた要介護状態になった場合に、一時金や年金形式で給付金が支払われる仕組みです。
民間の介護保険を検討するにあたり、まず「自分にとって介護保険は本当に必要なのか?」を考えることが大切です。必要性の考え方には、いくつかのアプローチがあります。
- 将来の介護費用 ESTIMATE(推定):
- 公的介護保険サービスの自己負担分、施設利用の場合の食費・居住費、その他雑費など、介護にかかるであろう月々の費用や一時的にかかる費用を推定してみます。介護期間の長さは予測できませんが、例えば5年間、10年間と仮定して総額を計算してみるのも良いでしょう。
- (参考)生命保険文化センターの調査によると、介護に要した費用の合計(一時的な費用+月々の費用×平均介護期間)は、平均で約580万円というデータがあります。これはあくまで平均であり、状況によって大きく異なります。
- 準備できる資力との比較:
- ご自身の貯蓄、退職金、年金などの収入、家族のサポートなどを考慮し、推定した介護費用をどれだけ自己資金で賄えるか考えます。
- 推定費用から自己資金を差し引いた金額が、不足する可能性がある金額と考えられます。この不足分を補う手段の一つとして、民間の介護保険が選択肢となります。
- 公的制度で利用できるサービスの見込み:
- 将来、ご自身がどの程度の要介護度になるか、どのようなサービスを利用することになるかを現時点で正確に予測することは困難です。しかし、公的介護保険制度の利用限度額などを理解しておくことで、民間の保険でどの部分を補いたいかが見えてくることがあります。
このように、ご自身の経済状況、家族構成、将来どのような生活を送りたいかといった点を踏まえ、「どれくらいの費用が必要になりそうか」「その費用を自己資金や公的制度でどこまで賄えるか」を考えることが、民間介護保険の必要性を判断する第一歩となります。
自分に合った民間介護保険の選び方:比較検討のポイント
もし、民間の介護保険で備えることを検討する場合、複数の保険商品を比較する際に注目すべき点があります。
- 給付条件:
- 最も重要な点の一つです。保険会社によって「要介護認定(公的制度)を受けた場合」を給付条件とするものと、「保険会社独自の基準(例えば、寝たきり状態が一定期間継続など)」を条件とするものがあります。公的認定連動型の方が、認定基準が明確で分かりやすいと考える方もいらっしゃいます。
- 「要支援」の段階から給付対象となるか、「要介護1」以上など、給付が始まる要介護度も確認が必要です。
- 給付金額と形式:
- 一時金としてまとまった金額を受け取るタイプと、年金形式で毎月または毎年受け取るタイプがあります。必要な金額や、受け取りたい形式を考慮して選びます。
- 保障期間と保険料払込期間:
- 一生涯保障が続く終身タイプや、一定期間のみ保障するタイプがあります。保険料の払い込みについても、終身払いか、60歳や65歳で払い込みが終了する有期払いかなど、ご自身のライフプランに合わせて検討が必要です。
- 保険料:
- 保障内容、給付条件、加入時の年齢、性別などによって保険料は異なります。無理なく払い続けられる保険料であるかを確認します。
- 特約:
- 契約によっては、特定の状態になった場合に一時金が受け取れる特約などが付加できる場合があります。ご自身に必要な保障を検討し、特約の付加も視野に入れます。
これらのポイントを比較検討し、ご自身の考える将来の介護リスクと、それに備えるための費用、そして現在の家計状況を考慮して、最適な保険を選びましょう。
加入前に確認すべきこと
民間介護保険への加入を検討する際には、以下の点も確認しておくと安心です。
- 健康状態の告知: 加入時には、現在の健康状態や過去の病歴などを正確に告知する必要があります。告知義務違反があると、保険金が支払われない場合や契約が解除される場合がありますので、正直に申告することが非常に重要です。
- 既存の保険契約の確認: 現在加入している生命保険や医療保険に、介護に関する特約が付いている場合や、一定の要件を満たせば保険金を受け取れる仕組みが含まれている場合があります。まずはご自身の保険契約内容を確認し、すでにどのような保障があるかを把握しましょう。
まとめ:あなたに最適な介護への備えを見つけるために
将来の介護に備える方法は、公的な制度に加え、民間の介護保険やご自身の貯蓄など、様々な選択肢があります。最も大切なのは、「自分にとってどのような備えが必要か」を具体的に考え、計画を立てることです。
この記事で解説した公的介護保険制度の仕組みや、民間介護保険の選び方のポイントをご参考に、ご自身のライフプランや経済状況に照らし合わせながら、最適な備え方を見つけていただければと思います。もし、ご自身だけで判断するのが難しいと感じる場合は、保険の専門家やFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるのも良い方法です。専門家は、客観的な視点からあなたに合ったアドバイスを提供してくれるでしょう。
「パーソナル保険ナビ」では、あなたが自分に最適なパーソナライズ保険を見つけるための情報を引き続きお届けしてまいります。