保険料を抑えるなら?「掛け捨て」と「積立」保険、メリット・デメリットを比較解説
はじめに:保険選びでよく聞く「掛け捨て」と「積立」とは?
保険を検討し始めると、「掛け捨て型」や「積立型」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。これらは、保険の仕組みを大きく分ける考え方の一つで、どちらを選ぶかによって保険料や将来受け取れる可能性のあるお金の有無が変わってきます。
特に、家計の状況を見ながら保険料の負担をどうするか、そして将来への備えも同時に考えたいという方にとって、「掛け捨て」と「積立」のどちらがご自身に合っているかを知ることは、賢い保険選びのために非常に重要です。
この記事では、「掛け捨て型」と「積立型」それぞれの保険の仕組みや、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。ご自身の状況に照らし合わせながら、最適な保険選びのヒントを見つけていただければ幸いです。
「掛け捨て型」保険の仕組みと特徴
掛け捨て型保険は、その名の通り、支払った保険料が「掛け捨て」となるタイプの保険です。保険期間中に保障が必要な状態(死亡や病気、ケガなど)になった場合に保険金が支払われますが、満期を迎えたり、途中で解約したりしても、基本的に保険料は戻ってきません。
これは自動車保険や火災保険のように、万が一の時の「保障」を購入するという考え方に近い仕組みです。
掛け捨て型保険のメリット
- 保険料が比較的安い: 保険料の中から将来のための積立分がないため、同じ保障内容であれば、積立型に比べて保険料を安く抑えることができます。家計の負担を減らしたい場合に有効です。
- 大きな保障を確保しやすい: 少ない保険料で、万が一の際に備えるための大きな保障(例:死亡保険金〇千万円)を準備しやすいという特徴があります。
- シンプルな仕組み: 保障に特化したシンプルな仕組みであることが多く、内容が理解しやすい傾向にあります。
掛け捨て型保険のデメリット
- 満期や解約時に保険料が戻らない: 保険期間中に一度も保険金を受け取らずに満期を迎えた場合や、途中で解約した場合でも、支払った保険料は戻ってきません。「何もなかったのに保険料を払い損した」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
- 資産形成には向かない: 保険料の一部が積み立てられる仕組みではないため、将来のための資産形成を目的とするには向いていません。
掛け捨て型保険が向いているのはどんな人?
- 家計の負担を抑えつつ、必要な期間だけ大きな保障を準備したい方
- 住宅ローンの返済期間中の死亡保障など、特定の期間に絞って手厚い保障が必要な方
- 保険とは別に、ご自身で貯蓄や投資などの方法で資産形成を行っている方
「積立型」保険の仕組みと特徴
積立型保険は、支払った保険料の一部が積み立てられ、将来、満期保険金や解約返戻金として受け取れる可能性があるタイプの保険です。保障機能と貯蓄機能(あるいは資産形成機能)を兼ね備えていると言えます。
積立型保険のメリット
- 将来お金を受け取れる可能性がある: 満期時に満期保険金を受け取れたり、途中解約でも解約返戻金を受け取れたりする可能性があります(ただし、払込期間中に解約した場合、多くは支払った保険料の合計額を下回ります)。保険で万が一に備えながら、将来のための資金準備も同時に行いたい場合に魅力となります。
- 貯蓄や資産形成の習慣につながる: 保険料の支払いが、定期的な貯蓄や資産形成の習慣につながります。
積立型保険のデメリット
- 掛け捨て型に比べて保険料が高い傾向にある: 保険料の中に将来のための積立分が含まれているため、同じ保障内容であれば、掛け捨て型よりも保険料が高くなります。
- 資金の自由度が低い: 積み立てたお金を途中で引き出す場合、解約の手続きが必要となり、タイミングによっては元本割れ(支払った保険料の合計額より受け取れる金額が少なくなること)のリスクがあります。
- 保障と積立が一体になっているため、見直しが複雑になることも: 保障内容だけを見直したい場合でも、積立部分があるために判断が複雑になることがあります。
積立型保険が向いているのはどんな人?
- 将来の教育資金や老後資金など、特定の目的のために計画的に資金準備をしたい方
- 保険を貯蓄や資産形成の手段の一つとしても活用したい方
- 掛け捨てでは保険料が「払い損」になるのが嫌だと感じる方
掛け捨て型と積立型、比較のポイントは?
| 比較ポイント | 掛け捨て型保険 | 積立型保険 | | :----------------- | :---------------------------------- | :-------------------------------------- | | 保険料 | 比較的安い | 比較的高い | | 保障 | 大きな保障を準備しやすい | 保障と積立を兼ね備える | | 満期・解約時 | 基本的に何も戻らない | 満期保険金や解約返戻金がある可能性あり(元本割れリスクも) | | 貯蓄・資産形成 | 基本的にできない | 保険料の一部が積み立てられる | | 仕組みのシンプルさ| シンプル | 掛け捨て型より複雑な傾向 |
どちらのタイプが良いかは、個々のライフスタイル、家族構成、収入、将来設計などによって異なります。
ご自身に合ったタイプを見つけるには?
掛け捨て型と積立型のどちらを選ぶか、あるいは組み合わせて活用するかを判断するためには、以下の点を考えてみましょう。
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何のために保険が必要か?(目的の明確化)
- 万が一の死亡時に残された家族の生活費を保障したいのか?(=保障重視)
- 病気やケガで入院・手術をした場合の費用をカバーしたいのか?(=保障重視)
- 将来の教育資金や老後資金を準備したいのか?(=積立・資産形成重視)
- それぞれの目的によって、適した保険のタイプや必要な保障額は変わってきます。
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現在の家計で無理なく支払える保険料はいくらか?
- 保険料が高すぎると、継続が難しくなってしまう可能性があります。現在の収入や支出状況を踏まえ、無理のない範囲で支払える保険料の上限を考えましょう。
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将来のための貯蓄や資産形成は、保険以外にどのように行っているか?
- 定期預金や投資信託、iDeCo、つみたてNISAなど、保険以外の方法で将来の資金準備ができているかによって、保険に積立機能を求める必要性が変わります。
これらの点を整理することで、ご自身にとって「保障」と「積立」のどちらにどれくらいの重きを置くべきかが見えてきます。
まとめ:バランスの取れた保険選びのために
「掛け捨て型」と「積立型」は、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらが優れているということではなく、ご自身のライフステージや資産状況、保険に求める役割に応じて最適なバランスを見つけることが大切です。
- 家計の負担を抑えながら、特定の期間に大きな保障を確保したい場合は、掛け捨て型が有効な選択肢となります。
- 保険で保障を準備しつつ、計画的に将来の資金準備も行いたい場合は、積立型を検討する価値があります。
また、すべての保険をどちらかのタイプで統一する必要はありません。必要な保障内容に応じて、掛け捨て型と積立型の保険を組み合わせて加入することも可能です。
ご自身にとって最適な「パーソナライズ保険」を見つけるためには、一つの情報だけでなく、複数の保険会社の情報や様々なタイプの保険商品を比較検討することをおすすめします。
もし、ご自身の状況に合わせて具体的にどのような保険が合っているか、迷ってしまう場合は、保険の専門家や比較サイトなどを活用して、具体的なシミュレーションを行ったり、第三者の意見を聞いたりすることも有効な方法です。
この記事が、あなたの保険選びの一助となれば幸いです。