無駄なく安心!複数保険を組み合わせるメリット・デメリットと自分に合った選び方のポイント
複数の保険を組み合わせるという考え方
「保険の見直しをしたいけれど、たくさんの種類があってどれを選べば良いか分からない」「必要な保障は欲しいけれど、保険料が高くなるのは避けたい」
このように感じている方は少なくないでしょう。特に、家族構成やライフスタイルが変化すると、かつて加入した保険が現在の状況に合わなくなっていることもあります。
保険選びというと、一つの保険商品で必要な保障をすべてカバーすることをイメージされるかもしれません。もちろん、それも一つの方法ですが、近年では「複数の保険を組み合わせる」ことで、より自分に合った、無駄の少ない保障設計を目指すという考え方も一般的になってきています。
この記事では、なぜ複数の保険を組み合わせることが検討されるのか、そのメリットとデメリット、そして実際に組み合わせる際にどのような点に注意して選べば良いのかについて、分かりやすく解説します。ご自身の保険を「パーソナライズ」し、無駄なく最適な保障を見つけるための一助となれば幸いです。
なぜ複数の保険を組み合わせるのか?基本的な考え方
保険商品には、死亡保障、医療保障、がん保障、就業不能保障など、様々な種類の保障があります。これらの保障をパッケージとして提供する総合保険もあれば、特定の保障に特化した単体の保険商品もあります。
単体の保険商品を複数組み合わせる基本的な考え方は、「必要な保障を、必要な期間、必要な分だけ」ピックアップして契約するというものです。
例えば、 * 死亡保障は、子どもが独立するまでの期間だけ手厚くしたい * 医療保障は一生涯必要だが、保険料は抑えたい * がん保障は、最新の治療法にも対応できるものを準備したい
といった個別のニーズがある場合、一つの総合保険では、これらの希望をすべて満たそうとすると、不要な保障も含まれてしまったり、逆に必要な保障が不足したりすることがあります。また、パッケージ化されている分、保険料が割高になる可能性も考えられます。
複数の保険を組み合わせることで、それぞれのニーズに合った特化型の保険商品を選び、必要な保障を必要な分だけ積み重ねていくイメージです。これにより、保障内容のカスタマイズ性を高め、結果として保険料を効率的に抑えられる可能性があるのです。
複数保険を組み合わせるメリット・デメリット
複数の保険を組み合わせることには、いくつかのメリットと注意すべきデメリットがあります。
メリット
- 必要な保障を必要なだけ確保しやすい(パーソナライズ性の向上): 単一の商品に縛られず、自身のライフプランやリスクに合わせて、死亡、医療、がんなど、個別の保障を手厚くしたり抑えたりと、きめ細やかな設計が可能になります。
- 保険料を抑えられる可能性がある: 不要な保障を省き、必要な保障に絞ることで、トータルの保険料が単一の総合保険に比べて割安になる場合があります。
- 保障内容の見直しや変更が比較的しやすい: ライフステージの変化に合わせて、特定の保障だけを増減したり、新しい保障を追加したりといった見直しが、単体の保険ごとに行いやすくなることがあります。
- 最新の商品を取り入れやすい: 特定の分野で保障が手厚い最新の保険商品が登場した場合、その部分だけを既存の契約に加える形で取り入れやすい傾向があります。
デメリット
- 管理が煩雑になる可能性がある: 複数の保険会社と契約することになるため、保険証券の管理、保険料の支払い、契約内容の確認などが手間になる可能性があります。
- 保険金・給付金請求時に手続きが増える可能性がある: 万が一の場合、それぞれの保険会社に請求手続きを行う必要があり、単一の保険会社に比べて手続きが増えることが考えられます。
- 保障の重複に注意が必要: 複数の保険を契約する際に、意図せず同じ保障内容を重複して契約してしまう可能性があります。保障が重複しても、受け取れる保険金や給付金に上限があったり、保険料が無駄になったりすることがあります。
- 各保険商品の内容をしっかり理解する必要がある: それぞれの保険商品の保障内容、支払い条件、保険期間などを正確に理解し、全体として必要な保障が確保できているかを確認する手間が増えます。
複数保険を組み合わせる際の具体的なステップと選び方のポイント
複数の保険を組み合わせて自分に合った保障を設計するためには、いくつかのステップを踏むことが重要です。
ステップ1:自身のライフプランと必要保障額を明確にする
まずは、ご自身の現在の状況(年齢、家族構成、収入、支出、貯蓄など)と将来のライフプラン(結婚、出産、住宅購入、子どもの進学、退職など)を整理します。そして、「もしものことがあったら、何に、いつまで、いくら必要になるか?」という視点で、死亡、医療、がん、就業不能など、それぞれの分野で必要となる保障額や期間を具体的に考えます。 * 例:自分が死亡した場合、遺された家族の生活費、子どもの教育費にいくら必要か? * 例:病気や怪我で入院・手術した場合、医療費(自己負担分)、差額ベッド代、先進医療費、収入減にいくら必要か?
ステップ2:公的保障でカバーされる範囲を理解する
日本には、健康保険や厚生年金保険、国民年金などの公的な社会保障制度があります。医療費の一部負担、高額療養費制度、遺族年金、障害年金など、これらの公的保障でカバーされる範囲を確認します。これは、民間の保険で備えるべき「不足分」を知るために非常に重要です。
ステップ3:不足する保障を洗い出す
ステップ1で考えた「必要な保障」から、ステップ2で確認した「公的保障でカバーされる範囲」を差し引いたものが、民間の保険で準備すべき「不足する保障」です。この不足分を補うことを目的として保険を検討します。
ステップ4:不足する保障をカバーできる保険商品を検討する
洗い出した不足分をカバーするために、どのような保険商品があるかを検討します。ここで、単一の総合保険でカバーするのが良いか、それとも特定の保障に特化した保険商品を複数組み合わせるのが良いかを比較検討します。複数の保険を組み合わせる場合は、それぞれの保障(死亡保険、医療保険、がん保険など)で、どの保険会社のどの商品が自身のニーズに最も合致するかを探します。
ステップ5:複数組み合わせる場合の具体的な検討と選び方のポイント
実際に複数の保険を組み合わせることを決めたら、以下のポイントに注意して商品を選びます。
- 保障内容の詳細を確認する: 同じ名称の保障でも、保険会社によって保障される範囲や条件、給付金の支払われ方などが異なります。細かい部分まで確認し、自身の求める保障内容に合致しているかを確認します。特に、医療保険やがん保険の特約(例:先進医療特約、特定疾病一時金など)は、保障範囲をしっかり確認することが重要です。
- 保険期間と保険料払込期間を考慮する: 複数の保険を組み合わせる場合、それぞれの保険の期間や保険料を払い込む期間がバラバラになることがあります。将来的な見直しのタイミングや、保険料負担の計画を立てる上で、これらの期間を揃えるか、あるいは意図的にずらすかを検討することも大切です。
- 保険会社の信頼性とサービスを確認する: 複数の保険会社と契約することになるため、それぞれの会社の経営の安定性や、保険金・給付金請求時の対応なども考慮に入れると安心です。
- 保障の重複がないか、漏れがないか最終確認: 複数の契約を全体として見たときに、必要な保障が漏れていないか、逆に同じ保障内容を重複して契約していないかを必ず確認します。重複は保険料の無駄につながります。
- 複雑になりすぎないようにバランスを取る: 組み合わせる保険の数が多すぎると、管理が非常に煩雑になります。メリットとデメリットを比較し、ご自身が管理できる範囲で組み合わせるように心がけましょう。
- 不明点は専門家に相談する: 複数の保険を組み合わせる検討は、単一の保険を選ぶよりも複雑になる傾向があります。疑問点や不安な点がある場合は、保険の専門家(ファイナンシャルプランナーや保険相談窓口の担当者など)に相談することで、より客観的で専門的なアドバイスを得ることができます。
まとめ
複数の保険を組み合わせることは、単一の保険商品では実現しにくい、あなたのライフプランやリスクに合わせた「パーソナライズ」された保障を、無駄なく効率的に設計するための有効な手段の一つです。必要な保障を必要なだけ選ぶことで、保険料を抑えつつ、本当に備えたいリスクに備えることが可能になります。
しかしその一方で、複数の契約を管理する手間や、保障の重複に注意が必要といったデメリットも存在します。
複数保険の組み合わせを検討する際は、まずはご自身の必要保障額を明確にし、公的保障でカバーされる範囲を理解した上で、不足する部分を補う形で保険商品を検討することが大切です。そして、それぞれの保険商品の内容をしっかり確認し、全体として最適な保障設計ができているか、管理が可能かという視点からも検討を進めることが重要です。
ご自身だけで判断することが難しい場合は、保険の専門家へ相談することも賢明な選択と言えるでしょう。あなたの状況に合わせた最適な保険選びの参考にしていただければ幸いです。